第12章 『誰にもあげないよ!』~大野×松本~
智が俺のために歌ってくれてる...
澄んだ声...張りのある透明な響き..
いつも、ドームを静まり返らせる、
その歌声で...俺ひとりのために..
「....to..you~♪..おめでと..潤」
俺は、ひと息でふたつのろうそくを消した。
.....涙がポロリと頬を伝った。
俺の涙に気付いたのか?気付かないのか...
智は、わざと元気に、
「食べよ!潤..何から行く~?」
「俺?...じゃあ...イチゴ..」
零れた涙を手の甲で拭って、俺は笑うと、智がフォークでイチゴを刺して俺の方へ差し出した。
「はい♪あ~ん..」
「...あ~ん...うまっ!じゃあ、智は?」
「俺は..メロン!」
「メロンか...はい、あ~ん」
「あ~ん...れかいよ(でかいよ)うん(潤)...」
もごもごする智が可愛くって、キュンとする..
「じゃあ、今度はケーキ食べよ...はい..」
智が、指でケーキの端をすくって俺の方に差し出した。
俺はその指を口に咥えて、ケーキを食べてから、指もキレイに舐め上げた。
「じゃあ、今度は俺ね..」
俺は、ケーキの端っこに噛みついて、
口に咥えて智に近づいた。
「潤...口の周り、クリームだらけだよ...」
智は笑いながら、俺の口からケーキを食べ、そのまま、口の周りをぺろぺろ舐めてクリームを綺麗にした。
「フフフッ..くすぐったいよ~
...なんか、智、犬みてぇ~(*^^*)」
俺たちは、そんなことしながら、ケーキをしばし堪能し、お互いの顔も指も何だかべとべとになった。
「俺も、風呂入ろっかな~」
「...うん...」
ちょっとしょんぼりした俺を見て、
「一緒に入るか?」
と智が手を出した。