第12章 『誰にもあげないよ!』~大野×松本~
8月30日...その日は朝から弱い雨が降っていた。
俺は朝からアルバムのレコーディングがあって、都内のスタジオにいた。
...雨かぁ...
雨といっても、土砂降りでもなく、
かといって晴れてきそうでもなく、
中途半端な天気...
何となく、小さな窓から空を見ていた。
すると、
『松本さん!!お誕生日おめでとうございま~す!!』
当然クラッカーが鳴らされ、ケーキが運ばれてきた。
「えっ?マジで??」
戸惑う俺を、スタッフが囲んでみんなニコニコしてる。
「あっ..どうも、ありがと..」
慌てて立ち上がる俺に、
スタッフみんなで『Happy birthday♪』を歌ってくれ、俺は33本のろうそくを吹き消した。
ケーキの真ん中で、俺がこっちを見て
笑っていた....眉毛が...(^^;
仕事は、誕生日だから、とか言われ、
予定よりも一時間も早く終わった。
俺にとっては、何よりのプレゼントだ。
マネージャーに送ってもらい、新宿の高級ホテルを目指した。
翔くんの予定なら、もう智も着いてるはず。
俺は、智にラインをしようと思い、スマホを出したが、何となく止めにして、そのままホテルに向かった。
フロントは通らず、上層階の部屋に直行した。
その部屋の前に立ち、少し緊張する俺...
久しぶりに会うからじゃない...
...まあ、それもあるけど、今日、決めようって、覚悟を持ってこの場に来たせいもあるんだ。
...って、どんだけ俺...気合い入ってんだよ//
インターフォンを鳴らすと、
程なくしてドアが開き、
愛しい人が顔を出した。
「潤♪早かったね~(^^)」
にっこり笑ったその顔に、
俺の心拍数が跳ね上がった。