• テキストサイズ

風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第11章 『アザリア』~松本×櫻井~



じっと俺の顔を見ながら、
そのまま、横に座った翔...

気配で分かるよ...

見てなくても、
見てる時よりも、彼を感じて...

それだけで、俺の身体は熱くなるんだ。


翔は、俺のこと、
可愛いって、そう言う。

全然可愛くなんかないのに...

でもね、
翔に可愛いって、
そう言ってもらうのが、
俺はすごく嬉しくて...


彼の視線を感じながら、
それがくすぐったくて、幸せで...

翔は、俺が寝たふりを続けてたら、
俺が見ていた、ブルーレイを起動させた。


...そう、俺たちが付き合うきっかけになった、
『嵐フェス』...国立の映像だ。

俺たちにとっての、
想い出のコンサート。

あの日。
翔は体調を崩していて、
始まる前から熱があった。

薬を飲めば、ラップの切れがなくなる、って、
そう言って、無理してステージに。


俺は心配で仕方なかった。
ずっと翔の側に居たかった。

でも、演出を確認する作業が残っていて、
それができない...

こんな時に、
ついててやれないなんて///


いつも、弱音を吐かない、
俺たちの中では、一番自分に厳しい人...

コンサート中も、
いつも彼の姿を目で追いながら、
視界の隅で、その存在を確認していた。


何とか乗り切った本番直後、
割れるような歓声と拍手が
俺たちを包む...

それを背中に、
俺たちはステージを降りた。


限界をとうに超えていた翔は、
倒れそうになり、とっさに、
伸ばした俺の腕の中に
もたれ掛かってきた。

誰にも気付かれないように...

俺の支えに頼りきっている彼の身体は、
火のように熱かった。


こんなになっても、頑張りぬいて、
きっちりと役目を果たした彼が、
いじらしくて...

そして、
愛おしかった。


/ 999ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp