第10章 『ささのはさらさら』~松本×大野~
そうだ。
今夜は七夕だ。
偶然とはいえ、運も俺の味方してくれてる、
ってことだよな(^^♪
日中、授業がいつもの倍、長く感じた。
その日は、偶然大野先生とばったり会うこともなく、
約束の時間が近くなり、
俺は、屋上に向かった。
...少し早く来過ぎちゃったかな?
俺はひとり、屋上に寝そべって空を見上げた。
生憎の曇り空。
...ちぇっ、降るような天の川の下で、
ばっちり決めるつもりだったのに...
まあ、いっか♪
俺は目を閉じて、
大野先生のことを思っていた。
ふんわりと柔らかそうな髪、
いつも、少し困ったみたいに下がった眉、
絵を描いているときの真剣な横顔、
華奢で、抱き締めたくなる肩と腰、
少し厚みのある可愛らしい唇、
キラキラした瞳、
「松本」と、俺を呼ぶ、澄んだ声、
そのどれも、好きだ...
大好きだ...大野先生...
すると、屋上の重い扉が開く音がして、
顔を上げると、
大野先生が、こっちに向かって歩いてきた。
よし!!!!
俺は気合を入れて立ち上がった。
心の中で言ったはずの『よし!』が、
実際口から出てたらしく、
先生は笑いながら俺の前まできて、
大野「気合入ってんな...」
と笑った。
その笑顔に、クラクラする頭を左右に振って、
俺は、大野先生に向かって、真っすぐ立ち、
そして、言った。
「大野智。あなたが好きだよ...
先生とか、年上とか、男とか女とか、
そんなの抜きにした、
ホントの気持ち、聞かせて欲しい...」
.....噛まずに言えた!!
昨日、何度も練習した甲斐、あったぜ///
俺の告白をじっと聞いていた先生は、
ふんわり笑った...