第10章 『ささのはさらさら』~松本×大野~
大野「おかしいだろ~?そんな話...」
苦笑いをする先生に、
「そんなことがあったら、誰だって怖いよ!
おかしいことなんか、全然ないじゃん!」
俺は熱くなって言い、
「そんなことも知らないで...
無理やり、お化け屋敷になんか誘って、
...ホント、ごめんなさい...」
そう素直に謝って、項垂れた。
すると先生は、
大野「松本が謝ることなんかないよ...
俺、教師なのにさ、
恥ずかしいところ、見せちゃって...」
先生は、申し訳無さげに、
唇を噛んだ。
......今なら、
言えるかもしれない...
「大野先生、相談があるんですけど。」
大野「相談?...いいけど、俺なんかで、
答えられるかなぁ?」
「大野先生じゃなきゃ、
答えられないことなんで。
実は俺、入学したときから、ずっと、
好きな人がいて。
その気持ち、伝えた方がいいかなって」
すると先生は、俺のことを
キラキラした目でじっと見つめて、
大野「伝えた方がいいかなんて、
そんなの決まってるよ!
...言うべきだよ。
松本が好きだって言えば、嫌だなんで、
そんなこと言うヤツ、いるわけないし。
もしダメでも、何度でも、
何度でも、繰り返し好きだって、
そう言えばいい..絶対、上手くいくよ!」
....先生..
俺、もう止める気ないよ。
そこまで聞いたら、言うしかないでしょ?
「俺の好きな人は、美術部で、
イニシャルはS・O...
優しくて、ボンヤリしてるけど、
目がすげー綺麗で。
お化け屋敷が超苦手で、身長は..」
大野「松本...それって...」
俺は今度こそ、真っ正面から、
大野先生の綺麗な瞳を見つめながら言った。
「大野智先生..あなたが、
好きです」