第10章 『ささのはさらさら』~松本×大野~
鼻の下を伸ばした野郎たちと、
他校の女子生徒が、キャッキャと賑かに
仲良くオバケ屋敷に入っていくのを、
俺は横目で見ながら、
携帯でゲームをしていた。
もちろん、
女の子達から声を掛けられないように、
近寄るなオーラを出すことも忘れずに。
そこへ、なんの前触れもなく、
翔くんが、大野先生を連れてきた。
翔「先生は特別、整理券なしで、
入れてやるからさ...」
大野「おっ、俺はいいってば...」
俺は慌てて座っていた机の上から、
二人の前に飛び降りた。
翔「んじゃ、後は頼んだぞ!潤...
大野センセ、エスコートしてやってよ♪」
翔くんは、そう言いながら、
俺の前に大野先生を差し出し、
分からないようにウィンクをした。
....やっぱ、この人にはバレバレか...
よし!そんなら、
翔くんの期待に添わなきゃな♪♪
「じゃあ、先生、俺といくよ~」
大野「松本、俺はさ、いいってば...」
「何言ってんの~?恐くなんかないって!
暗いからさ、それだけだよ♪」
入り口で誘導しているニノの合図で、
俺は大野先生とお化け屋敷に入った。
中は、段ボールや暗幕を上手く使って、
ほとんど真っ暗。
笹やブラックライト、音響を駆使して、
なかなかの演出だ。
大野「.......」
「先生..大丈夫?」
無言の先生が心配になって、声を掛けると、
先生は俺のTシャツの裾を、
ぎゅっと強く握り、身体を寄せてきた。
.....マジですか(σ≧▽≦)σ
「恐いの?先生...」
大野「松本、俺、お化けは...
あんまり.......
ギャ────ッ/////////」
上から下がっていたこんにゃくに、
大野先生は、思わずしゃがみ込んだ。