第9章 『恋よ、永遠になれ』 ~大野×二宮~
俺が風呂からでると、
部屋の中にあんたの姿がなくて、
...このタイミングで帰ったのかよ?
って思ったら、
いた....
バルコニーの手摺に凭れて、
空を見ていた。
「ここに、いたんだ...」
俺は、ビールを片手に
あんたの横に並んだ。
すると、夜空に目を向けたまま、
「ニノぉ~...今日ってさ、
『空飛ぶ円盤の日』だって、知ってた?」
って...。
思いがけないその言葉に、
「へっ?」
「だから、6月24日は『空飛ぶ円盤の日』
アメリカで、初めてUFOが目撃された日なんだって。」
「..空飛ぶ円盤...」
俺は、どうしてあんたが急にそんなことを言い出したのか、皆目見当がつかず、何て応えたら正解なのか、分かんなかった。
「もしかしてさ、来るんじゃね?UFO...」
「来るって...どこに?」
「ここだよ、この空...」
「......はあ...」
いつも分かんないけど、
この時ばかりは、ホント、
俺には、あんたっていう存在が、
もう謎でしかない...
ある意味、空飛ぶ円盤より、
掴めないわ///
............
夜空を眺めるあんたの横で、
仕方ないから、俺も空を見上げた。
雲が多くて、星も月も見えない夜だった。
さっきまでの、
ドキドキした気持ちは、いつしか静まっていて、
隣からする、ふんわり優しいあんたの匂いに、
包まれているようで...
俺の心ははごく穏やかで。安心していて。
このままずっと、こうしていたいな...
って...
そんな風に思っていた。