第9章 『恋よ、永遠になれ』 ~大野×二宮~
ラーメン屋は、仕事帰りのサラリーマンで、
割りと混んでいた。
みんな、新聞を、見たり、
携帯を、弄ったりしていて、
俺たちには気付かない。
まあ、仮に気付かれたとしても、
騒ぎになるような、
そんな客層でもなかった。
「何にする?」
「俺は...鶏ガラ醤油ラーメン。
大野さんは?」
「...すみませぇ~ん!!
鶏ガラ醤油ラーメンを、ふたつ。
後、餃子を二人前。」
さっさと注文する大野さんは、
なんか男らしくって、
俺は、少しだけキュンとした。
...もちろん、顔には出さなかったけどね。
「昔さぁ、ニノとこうやって、
二人でラーメン食べたこと、あったよな..」
「えっ?..」
「ほら、京都でさ。
...覚えてないのかよ...」
......覚えてるよ...
忘れるわけなんかない...
「....覚えてたんだ..」
俺は、大野さんが忘れてなかった事に
ただただビックリしてて...
「フフッ...何かさ、急に思い出した..」
そう言って、あんたはふんわりと笑った...
そうだよ...
大野さん、あなたに会いたくって、
わざわざ京都まで、訪ねていったんだ。
会いたい一心で、新幹線に飛び乗って。
急に行った俺に、
理由も聞かず、あんたはラーメンを
ご馳走してくれた。
暫く振りに会ったあんたが、
何だか妙に大人っぽくなってて....
変わってしまってて....
泣きながら帰ったあの日のこと...
今でもはっきりと、覚えてるよ。
.....俺は、
大野智が好きなんだ、って、
そう気付いてしまった、
あの夜のこと。
忘れるわけなんか、ないんだ....