第6章 休日1
烏間side
フッと背後にいつもの気配が無いのに気づいた。
振り返れば案の定、マシロの姿がなかった。
「マシロ?迷子か?」
「あんなガキほっといて二人でまわろーよカラスマぁ」
イリーナが腕に抱きついてくるが今はそれどころではない。
「あいつを探す」
「カラスマ、なんであの子を特別扱いするのよ」
特別?
確かに他の奴らに比べれば特別扱いになる。
だが、あいつは監視対象であり、守りたいと思える奴なんだ。
家族のように大事な存在なんだよ。
「俺の家族だからだ」
そう言って俺は走り出す。
来た道を戻り、あの白を探す。
真白の髪
日焼けしない雪のような肌
空を写したような青い瞳
時折見せる無垢な笑み
壊れそうなほど繊細な彼奴を早く見つけてやらなければ。
どうせ、一人で泣いてるはずだ。
「マシロ!」
お土産コーナーの前に俯き立つ彼奴を見つけて駆け寄れば、案の定泣いていた。
「すまない、大丈夫か?」
「烏間….私は烏間のなんだ?」
綺麗な目から溢れる大粒の涙
それを拭ってやり抱きしめる。
「家族に決まってるだろ」
今は家族でいい。
この子には、今はこの関係が1番必要な事なんだ。
「烏間っ」
「どうした?」
「ペンギン…」
マシロの指差す方に、抱き枕サイズのペンギンがある。
マシロも女の子らしくなってきたようだ。
「待ってろ」
ペンギンを抱えレジに向かう。
値札を外してもらいそのままマシロに渡すと笑顔になった。
「すまなかった」
「いい、ありがと」
マシロの笑顔に
心が温まる気がした。