第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「…これでいいかな…」
きゅっと、座面を乾拭きしていたタオルを握りしめた。
「ん~…ん~…」
多分、どっからどう見てもキレイ。
「じゅぅーん」
リビングに居る潤に向かって声を張り上げた。
「あー?」
「キレイになったよー」
ひょこっと潤がダイニングに顔を見せた。
じとーっと俺を見ると、入ってきた。
手にはタブレットを持ってる。
それをテーブルの上に置くと、じーっとスツールを見た。
「ほんとかよ」
「…ほんとだってば…」
ペタペタと歩いてくると、隅から隅までスツールを検分した。
一応ね…
あの後、すぐにキレイにはしたんだけど、後からやっぱりベルベットの座面がカピカピになってきて…
ちょっとデリケートな布だから、専用の洗剤を取り寄せて、やっと今日、キレイにできたんだ。
「…ふうん…キレイになってるじゃん」
「えへえ…」
「褒めてるんじゃないからねっ!?」
こめかみをグーでグリグリされた。
「痛い痛い痛いっ…」
「どこでセックスしようが、ここはリーダーの家だからいいけどさあっ…」
「痛いよぉぉぉっ…」
「俺のお気に入りの上でするんじゃねえぞっ!」
「わっ…わっかりましたぁぁぁ…」
そのままドスンとスツールに潤は座った。
「わかったら、コーヒー淹れてきて」
「…あい…」
潤はタブレットを手に取って、そこで仕事を始めた。
ぐりぐりされてじんじん痛む頭をさすりながら、キッチンに入って、コーヒーメーカーに水をセットした。