第6章 蝶
ニノの瞳から涙がポロポロ溢れてきた。
「泣くことないだろ…」
頬を包んでいた手で涙を拭った。
拭うと目を閉じたから、キス…
したかったけどやめた。
さっき相葉ちゃんにキスされたばっかりだった…
「キス…」
ニノの口からおねだりがでた…
ごめん、相葉ちゃん。
ちゅっと軽くキスしたら、ニノが目を開けた。
「上書き…した」
そう言ってにっと笑った。
見てたのかよ…そこも…
ニノを抱き寄せると、ぎゅっと力を入れた。
「もう、ヤキモチ焼くなよ…?」
ぎゅっとニノも抱きついてきた。
「わかった…」
暫く、にのは俺の腕の中でめそめそ泣いてた。
こんなの初めて見た。
泣くところですらあまり見たことないのに…
泣き終わったら、俺を見上げた。
子供みたいな顔してた。
純真な目をして、俺を見てる。
「大野さん…好き…」
「ん…俺も…す…」
勝手口から大きな音が聞こえた。
慌てて駆け戻ると、翔ちゃんが腰を抜かして座り込んでた。
足元にはやかんが転がってた。
「ごめん…熱くないと思って…触ったら熱くって…」
熱湯が床にばら撒かれて、翔ちゃんの手も真っ赤になってた。