第19章 天は藍よりも青く
カウコンが終わって、皆でお参りに行って。
家に帰ってきたのはもう、朝だった。
いつもなら皆、実家に行ったり、旅行に行ったりするのに、今年は何故か家にいる。
「皆、どっか行かなくてよかったの?」
俺が聞いても、皆笑うだけでソファに座ってる。
「俺は寝正月決めてるけど…皆、やることあるんじゃないの?」
そう聞いてもやはり皆、にこにこして座ってる。
「そっか…」
俺は庭に出て、温室へ向かった。
最近忙しかったから、植物の手入れはずっと植源さんにお願いしてたけど、正月はやっぱり来られないから、水をやらなきゃいけなかった。
水場でじょうろに水を入れて運んでいると、相葉ちゃんが来た。
「やるよ」
そう言って、俺からじょうろを奪い取っていった。
「いや。俺の仕事だし」
そう言って奪い返してやった。
「どっちでもいいでしょうが」
後ろから和也の声が聞こえた。
「お前寝てろよ。腰、大丈夫?」
「大丈夫だよ。休ませてもらったし、マッサージ受けたから」
温室にはいると、ぽかぽかしてた。
1年前にはこんなふうになるとは思えないほど、温室には植物があふれている。
「あ、こいつ蕾つけてる…」
相葉ちゃんが嬉しそうに鉢を覗きこんでる。