第5章 グリーンフィンガー
「油断できない…何やってんの…こんなときに…」
ニノのサンダルが片方なかった。
相葉ちゃんの足元に転がってた。
「なんでもいいだろうが…あっち行ってろよ…」
「に、ニノ…」
駆け寄ると抱き寄せられた。
もう…なんなのこいつら。
「相葉さんの胸でなんか、泣かないで…大野さん…」
「ニノ…」
ぎゅっと抱き寄せられると、手を取られて家の方に歩き出した。
「ニノっ…あ、相葉ちゃんっ…ありがとうっ…俺、あいつのこと怒るからっ」
相葉ちゃんはサンダルを投げてよこすと、親指を立ててにっこり笑った。
サンダルを受けとって、ニノに渡す。
ふてくされた顔でサンダルを履くと、また俺の手をとって歩き出した。
「もうっ…ほんっと油断ならないっ…」
一人でぶつぶつ言ってる。
髪に寝ぐせがついたままで、なんだか小学生みたいで。
思わず俺は微笑んだ。
「何笑ってんのよ…」
じろりと見られたけど、愛おしさがこみ上げてきて。
「ニノ…俺…」
「ん?なあに?」
「お前のもの?」
「え?」
立ち止まって、俺の顔をじっと見る。
「俺のこと、お前のものにしたいって思ってくれてるの?」
「大野さん…」
そっと手を伸ばして頬に触れた。
「なってもいいよ」
ニノの目が大きく開いた。