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天は藍よりも青く【気象系BL小説】

第16章 IF…


力を入れると、あっけなく弟は沈んだ。


床に崩れ落ちる弟。


「はは…」


なんで動かない。


「あははははっ…」


そうだ。殺した。


「あははははははっ…」


俺がこの手で殺したんだ。







「兄さん、今日の夕飯は…?」


「いらない。お前一人で食べろ」


靴を履きながらベッドから飛び降りる。


この狭い部屋には、俺と弟のリュカしかいない。


両親は死んだ。


流行病に罹って。あっけなく俺たちを置いていった。


窓の外では、なにやら人々が集まって叫び声を上げてる。


なにが王政の廃止だ…


そんなこと、できるわけがない。


それに王様がいなくなったところで、俺達の生活がよくなるとは思わない。


誰が上に立ったって、最下層の者達の生活がよくなることなんてないんだ。


「兄さん…ご飯食べてよ」


「要らねえよ。お前が食えよ」


「だめだよ…昨日の夜からなにも食べてないじゃないか!」


「俺はいいから…市場に行ったらなんか貰えるし」


「兄さん!」


「じゃあな。行ってくる」


そのまま部屋を飛び出した。


空きっ腹に堪える、朝の冷気。


大人は広場で熱心になにか話し込んでる。


は…


そんな暇あるなら、俺達にパンをくれよ。


誰か…

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