第15章 サロメ
ぐったりして風呂からあがると、自分の部屋のベッドで寝転がる。
「和也…」
まだ蔵から出てきてない。
「がんばれ…」
火照った身体にシーツがひんやりきもちいい。
部屋に置いてる小さい冷蔵庫から水を取り出して、喉を潤す。
蓋を閉めていると、いきなり部屋のドアが開いた。
「智!」
和也が頬を紅潮させて部屋に入ってきた。
「入った!」
和也が満面の笑顔を見せた。
「ホント!?」
「うん!」
「よっしゃ、セリフやる?」
「ううん…内くんと合わせるから…」
「おう。わかった…」
そっと腕を広げた。
「おいで」
和也はぽすんと腕に飛び込んできた。
「偉かったな…」
「智…」
ぎゅっと抱きしめると、蔵の匂いがした。
「風呂、入って来いよ?」
「うん…」
身体を離すと、和也が照れたように微笑んだ。
「ありがとう…智…」
「いいって…ほら、行ってこいよ」
和也が出て行くと、しんとした部屋で座り込んだ。
あんな和也を見るのは初めてだった。
映画のときも、ずい分前にやった舞台のときも、あんなことなかった…
もしかして、もしかするのかな…
今回の舞台…