第5章 グリーンフィンガー
ひと月経つ頃、だいぶ庭の形が見えてきた。
アトリエから見える風景は、毎日変わって面白い。
あれから相葉ちゃんはほぼ毎日、俺んちに入り浸ってて。
植源の人たちととっても仲良くなって、いろいろ教えて貰ってる。
ニノと俺はといえば。
なんにも変わらなかった。
あれからニノの機嫌が悪くなることはなくなったくらいで。
やっぱりあのキスは夢だったんだろう。
ヘンなことしたいって思ってたから、それが願望に出ちゃったんだろう。
そう思うことにした。
夢にしちゃ、リアルな感触だったけどね…
俺は日がな一日、ほぼアトリエで過ごすようになった。
ニノも俺の隣でゲームをしてる。
それが俺たちの日常になりつつある。
絵を描くのに飽きて、ふと顔をあげるとニノと目が合う。
どちらからともなく微笑むと、ニノが電気ポットでお茶を入れてくれる。
いつでも、傍に居てくれる。
なんだか幸せだった。
ほっとする時間だった。
仕事がない日は、そういう風に過ごした。
相葉ちゃんが泊まる日は、夜はリビングで酒盛りになった。
三人で騒ぐなんて、なんだか新鮮で。
毎日楽しかった。