第13章 潤んだ瞳
翔ちゃんが一回目のオリンピックの取材に行く頃。
日本は猛暑。
当然、アトリエも焼けるように熱くて、暫く近寄れないほどだった。
翔ちゃんの絵…
どうしようかな…
思い迷って、仕事から帰ってきた夜中に書くことにした。
和也には止められたけど、翔ちゃんが戻るまで仕上げるって約束したし…
それに、頑張ってるから励ましたかった。
そんな俺を見て、相葉ちゃんや潤は夜中に差し入れをしてくれるようになった。
傍らにいる和也が、また太るからやめてくれっていうほど…
でも二人はせっせと夜食を持ってくる。
持ってきては3人で、俺の横で喋ってる。
…なんだ楽しそうじゃないか…
エアコンを入れても、まだ少しじっとり熱い室内。
4人で汗をかきながら、よく笑って。
時にはビール飲んで。
ちょっとしたパーティーになってた。
誰かが居ない日、それは行われない。
俺は一人か、もしくは和也と二人だけでアトリエで過ごした。
もうすぐフェスが始まる。
潤はその準備で駆け回っていたから、パーティーみたいな夜はだんだんと減っていった。
少し、淋しく思った。