第12章 空翔ける
銀縁のメガネを外して、髪を下ろした翔ちゃんは、少しだけ照れくさそうで。
「いい男に書いてよ?」
そう言いながら、頬杖をついて窓を見つめた。
「元がいいんだから、いい男になるにきまってるよ」
鉛筆をかざして、翔ちゃんを描き始める。
白い肌…
くりくりおめめ…
まっかな唇…
どうやったら、表現できるかな…
時々、翔ちゃんが微笑んでこちらを見る。
微笑み返すと、また窓に目を遣る。
「退屈でしょ?翔ちゃん…」
「ううん…別に…」
そう言って、俺に視線を戻した。
「智くんがこうやって絵を描いてる姿、久しぶりだから…」
「…あんま見るな…」
おひさまの光がきらきら当って、翔ちゃんは凄く綺麗だった。
暫くすると、暑くなってきたのか、翔ちゃんが汗をかきはじめた。
「ごめん。翔ちゃん、こっちおいで?」
「だって…」
「あらかた描いたから…後は近くで顔みせて?」
「えっ…?」
翔ちゃんは照れながら、ソファーに座る俺の隣にきた。
翔ちゃんの身体熱い…
「ごめんね…今、エアコン…」
「いいから…」
腕を引き寄せられた。