第4章 ばあちゃんの庭
「これは…20年くらい前ですかねえ…」
「へえ…じゃあばあちゃん60代か」
「はい。そうなりますかね。女性の年には疎いもので…」
そう言って棟梁は頭をボリボリ掻いた。
「うちの親父、佐穂さんに憧れてたんですよ…」
息子がうっしっしと笑う。
「ばっ…ばかやろうぃ!失礼こというねぃ!」
巻き舌になった。
コレが棟梁の素なんだろうか…
俺達は噴き出してしまった。
棟梁は顔を真っ赤にした。
「すいやせん…40年もやもめやってますとね…まあ、そんなこともありやすやね…」
素敵な女性だったんだろうな、ばあちゃん…
そう思うと、ほっこりした。
棟梁との話し合いは、ばあちゃんが生きてた頃よりも世話のしやすい木をセレクトしつつ、昔のように緑豊かな庭にするってことで落ち着いた。
息子と相葉ちゃんの話し合いもなんだか面白いことになるよって言われた。
どうでもいいけど世話どうすんの?って聞いたら、俺達ができないときは植源さんでやってくれるよって事になったって。
あ、植源さんって植木屋さんのことね。
年間契約みたいなのを今はサービスでやってて、その契約すれば、いつでも世話にきてくれんだって。
そいつぁ助かった。
…棟梁のが移った…