第10章 LIFE
東京に戻ると、すぐに翔ちゃんが潤を病院に連れて行った。
相葉ちゃんは庭木の手入れをする。
和也は昼飯の準備にとりかかる。
急に帰ってくることになったから、俺が近所のスーパーまで買い出しに行った。
和也に渡されたメモのものを買って帰ると、台所からご飯の炊ける匂いが漂っていた。
なんだか、幸せな気分になった。
台所のガラスの引き戸を開けると、和也がパタパタと食事の準備をしている。
「ただいま」
「あ、おかえり。ありがとうね」
そう言いながら、買い物袋を受け取る。
「ううん。和也も、ありがとうね」
ふふっと笑うと、早速買い物袋を覗きこむから、後ろから抱きしめた。
「あっ…智…落としちゃう…」
「ごめ…ちょっとだけ…このまま…」
和也が動きを止めたから、しばらくそのまま抱きしめていた。
和也のにおいがとても安心する。
襟足に鼻をこすりつけると、くすぐったそうに首をすくめた。
「もう…だめだよ…」
そういうと、ふんわりと俺から離れていった。
「相葉さんを手伝ってあげてよ」
「うん。わかった」
そのまま勝手口から、庭に出た。