第9章 FREEDOM
「智…」
和也の身体から力が抜ける。
慌てて支えると、涙で顔がぐしゃぐしゃで…
「なんて顔してんだよ…お前…」
「だってぇ…」
「ばか…無理すんな…」
「してない…」
「和也が好きだ…」
指で涙を拭う。
でも溢れる涙が止まらなくて。
地面に座らせると、裾でぐいっと顔を拭いた。
「お前が一番…大事だから…お前の嫌なことはしない」
「智…」
「いやなら、言って?」
和也は黙って首を振った。
「智が…俺を一番にしてくれるなら…俺はそれでいい…」
「だめ」
「え?」
「お前、無理してる」
「そんな…」
「嫌だったら、ぶっ叩いてでも引きずってでも、そう俺に言えよ…」
「でも…」
「皆、お前に遠慮してないだろ?」
「あ…」
「だから、お前も遠慮すんな」
そう言ったら、和也が泣き崩れた。
こんな和也、みたことない…
「う…うぇっ…」
声を殺して…
でも滂沱の涙。
俺は手を引いて立ち上がらせると、ぎゅっと和也を抱いた。
「ごめん…」
「あ、あやまるなあっ…」
ドンっと胸板を叩くと、顔を掴まれて激しく唇を貪られた。
月が、また、俺達を見てた。