第14章 きみどり scene5
「な、なんで僕を避けるんですか?」
「離せよっ…」
もがいてももがいても、このひょろっとした男から逃れられなかった。
「離してっ…」
「ああ…二宮さん。最高だ」
息が荒くなってる。
ここまで否定してるのに、こいつにはそれが燃料にしかならない。
わかってるのに…
もう逃れたくて、暴れるしかなかった。
「離せよっ…俺に触んなっ…!」
「もっと…もっと暴れてください…もっと僕を…」
ああ…もう死んでくれよ
「もっと僕を冷たい目で見てください…」
「ふざけんなっ…変態野郎っ…」
助けて…助けて助けて…!
あいつの手が俺のシャツに掛かった。
震える手でボタンを外していく。
「やだあっ…やめろよっ…」
あんな細い腕なのに、どこにそんな力があるのか。
俺の腕を押さえたまま、片手で器用に俺の服を脱がしていった。
「凄い…に、二宮さん…綺麗だ…」
吐き気がこみあげてくる。
痩せこけた青白い顔に、赤みが差している。
「ま、また気持ちよくしますから…」
ジャケットの懐から、ビニールに入ったあの布を取り出した。
「やっ…やめろよっ…離せっ…」
「二宮さんは僕が一番気持ち良くできるんです…一生、僕からは逃れられませんからね…?」