第14章 きみどり scene5
あいつの…正体なんてどうだっていいんだ
とにかく俺達の前から姿を消してほしい
ただそれだけなのに…
「ジャニーさん…ニノと智くん、このままだと死ぬよ?」
思わずぽろりと出た言葉…
思っても見なかった。
背筋がぞっとした。
そう…あのまま俺達が気づかなかったら…
ニノ、どうしてただろう…
そして、智くんはどうなってただろう…
「わかった…」
ジャニーさんが立ちあがった。
「大野とニノの様子がおかしかったのはそういうことね…」
相変わらずのアクセントで、溜息をつくように呟いた。
「もうこれ以上、事務所の子たちと争いたくない…」
心底疲れてるみたいな声が、耳の奥に残った。
すぐに対処してくれることを約束してくれたので、社長室を出た。
秘書室を出ると、表にはチーフが待っていた。
「櫻井…」
「今日、アイツのスケジュールどうなってんの?」
「…それが…」
言いにくそうに唇を噛み締めた。
「ああ…?まさか休んでるとか言わねえよな…?」
「今朝から連絡が取れない…」
「馬鹿野郎…なんで早く言わねえんだよっ…」
まさか箱根に行くのなんてわからないと思うけど…
念のため、懐からスマホを取り出して、智くんに連絡をした。