第14章 きみどり scene5
社長室は、副社長室よりも数倍広い。
秘書室を通って社長室に入ると、そこは異空間だった。
その中の応接セットに、俺は導かれた。
「コーヒー淹れるね」
「あのさ」
「ん?」
「急ぎなんだ」
「…わかった」
社長は、俺の隣に腰掛けた。
俺の顔を覗き込むと、聞くよって姿勢を取った。
「新しく入ったマネージャーに嫌がらせされてる。今すぐ辞めさせて欲しい」
「…どの子?」
「けーこさんが連れてきた男」
「ああ…あのひょろっとした色の白い…」
「あいつは在日で、たぶんその背景を使ってNHKの幹部脅して、その幹部がけーこさん脅して無理やりニノのマネージャーになった」
「え?ニノ?」
「わかるよね…?いろんな圧力があって、けーこさんは身動きとれない。だから、ジャニーさんなんとかしてよ」
社長は何か思案する顔になった。
「計画的な感じがする。最初から、ニノが目的だったんだと思う。ニノ、多分ヤられてる」
「…なんでニノはなんにも言わないの」
「多分…なんか弱み握られてるんだと思う。今までだって、あいつはそうしてきたんだから、なんの警戒もしてないニノの弱み握ることぐらい、簡単だったんじゃねえの?」
そうだよ…いともたやすく手に入っただろう。