第2章 グレイscene3
さっきの大野さんの緊張が伝わってきて、俺もなんだか緊張した。
「準備…しなきゃ…」
夕方までに、俺はすっかりとその準備を整えた。
もちろんオールアップのお祝いの食事も用意した。
後は温めるだけというところで、大野さんは帰ってきた。
「おかえり…大野さん」
玄関で靴を脱ぐ愛おしいひとに声を掛ける。
「…ただいま…ニノ」
大野さんはそっと俺を抱きしめた。
「お疲れ様…大野さん」
「ありがとう…ニノが居たから乗り切れたんだよ…」
今、アリーナツアーもワク学のリハも入っている。
大野さんと潤はそれに加えてドラマ撮影もあって、極限状態だった。
潤が忙しいのはいつものことだけど、大野さんはこういうペースで仕事をしたことがないから…
大野さんはいわゆる憑依型のひとだから、一つの仕事にしか集中できないんだよね…
「お風呂、入っておいで?」
「うん…もしかして用意してくれたの?」
「今日は夕飯も用意したよ。行っておいで」
「ニノ…ありがとう」
そういうと目を閉じたから、そっと唇にキスをした。
「好きだよ…大野さん…」
「俺も…好き…」
ぽっと染めた頬に手を添えて、またキスを落とすと大野さんはバスルームに消えていった。
「よし、やるか」