第14章 きみどり scene5
それからは、ただ二人でやることもなくて。
いつもやってるゲームもかずはしなくて。
ただふたりで、リビングのソファにくっついて座ってた。
「かず…美味しかったね?」
「うん」
「久しぶりにあんなに食べたね?」
「そうだね…さとも、いっぱい食べたね」
「うん。ホント美味しかったもんな」
愛おしくなってかずのほっぺたを撫でると、つるっとしてた。
「わあ…凄いな」
「え?なに?」
「温泉のせいかな?凄くつるつる」
「ほんと?」
自分のほっぺを触ると、意外って顔してる。
「さとも?」
俺のほっぺを触って、かずは微笑んだ。
「凄い。さともつるってしてるよ?」
「え?まじで?」
自分のほっぺを触ったらつるつるしてた。
「わー…凄えな…」
「んふ…」
「もう一回お風呂入ろうか?」
「うん」
さっき使って干しておいたバスタオルを持って、もう一回露天風呂に行った。
もう外は暗くなってて、月と星が出てた。
空気が冷たくて気持ちいい。
湯船に浸かりながら、俺はまたかずを抱っこしてた。
「気持ちいいな…」
なんだか、最近凝り固まってた心が緩んでいくみたいだった。
「かず…愛してるよ…」