第14章 きみどり scene5
さっと汗を流すだけにして、そのまま風呂を出た。
脱衣所で身体を拭いたら、ベッドルームで浴衣に着替えた。
ホテルの電話が鳴ったから、おっかなびっくり出てみたら、夕食の時間だという。
和室にご飯を用意するから、これから行っていいかって言うことだった。
承諾して待ってると、しばらくしてホテルの人が入ってきた。
前に出たドラマでホテルの事勉強してるから、なんか新鮮だった。
和室に用意された料理は豪華。
だけど、消化にいいものばかりだった。
きっと、翔ちゃんのオーダーなんだろうな。
かずとふたりで少しずつ味わった。
本当に美味しくて、元気の出るものばかりだった。
かずが生物苦手だから、そういうのもなかったし。
「翔ちゃん、俺達のマネージャーできるね」
そう何気なく、かずにいうと、びくっと肩を揺らした。
「…え?なに…?」
「うん…翔ちゃん、俺達の好みまで熟知してて、いいマネージャーになるよねって言ったの」
「あ…うん…そう、だね…」
それからかずは、無口になった。
なにがいけなかったんだろう。
最後の茶碗蒸しを食べたら、暫く本当になにも会話がなくなって。
仕方ないから、フロントに電話して食器を下げてもらった。