第14章 きみどり scene5
かずが魘されてる声で目が覚めた。
時計を見たら、まだ夕方の5時だった。
額に汗をかいてる。
そっとティッシュで拭うけど、まだまだ汗は吹き出してきて…
バスルームにタオルを取りに行った。
使ってないハンドタオルを持ってベッドルームに戻ると、かずが起きてた。
「さとっ…さとぉっ…」
俺を探してる。
「かず…ここにいるよ?」
「さとっ…」
ベッドから出て、俺に駆け寄ると必死にしがみつく。
足から力が抜けて床に崩れ落ちても、まだ俺にしがみついてた。
「かず…大丈夫…」
ポンポンと背中を叩きながら、かずの身体を抱いていると、この世で二人っきりになった気分になった。
さらさらと、外から木々が風に揺れる音がする。
その音以外、ここにはなんの音もなかった。
やがて、かずが落ち着くとそっと身体を離した。
「温泉でも入る?」
そう聞くと、こくりと頷いた。
汗をかいたから、気持ち悪いだろう。
和室に行くと、脱衣所の襖を開ける。
かずの服をそっと脱がせると、俺も脱いだ。
そのまま外に出る扉を開けると、小さな露天風呂があった。
デッキに檜造りの浴槽が埋まっている。