第14章 きみどり scene5
やめて…やめてやめて…
車の中で、変な布を口に当てられた。
甘い匂いがした。
「やめろよっ…」
「に、二宮さん…大丈夫ですから…」
「なにがだよっ…それ以上変なことするならやめるからな!?」
そういうと悲しそうな顔をした。
「や、やめたら…この写真を雑誌社に売りつけます」
「もういい…勝手にしたらいいだろ?」
「お、大野さんが…どう思いますかね…?」
まただ…
こいつ、俺がさとにベタ惚れなのわかってて…
「ぼ、僕はずっと二宮さんだけを見てきました」
「はぁ?」
「二宮さんが欲しいとずっと思ってきました。お、男に生まれてよかった…女だったら、マネージャーになれない」
なに…言ってるんだよ…
やめてくれよ…やめてくれ…
「真面目に勉強してよかった。NHKに入ったら、絶対にジャニーズ事務所に繋がれると思ったから…時間が掛かったけど、よかった…」
動けなくなった俺を一瞥すると、また変な布を口に当てた。
「二宮さんはそのままでいいんです。僕は、二宮さんが欲しいだけなんですから…」
ガリガリに痩せた身体…
生白い顔。
そこに付いてる二つの瞳は…
狂人のものだった