第14章 きみどり scene5
「ごめん…迷惑かけて…」
マネージャーたちは、俺達の仕事を調整するために楽屋を出ていった。
メンバーは俺の周りに集まって、ぽんぽんと頭を撫でてくれる。
「いいから…智くん、気にしないでゆっくりしてよ?」
「なんかあったら、相談乗るから…」
「大丈夫だよ…?皆、二人の味方だから…」
皆も、かずには色々聞いてくれたけど…
でもやっぱり何も言わなかったって…
「ごめん…」
「謝んなよ…リーダー…」
潤がぐしゃっと俺の頭を掴む。
やわやわと撫でて、手は離れていった。
「…ニノが、あんなに頑なになるの…久しぶりだね…」
「うん…」
翔ちゃんが呟くと、相葉ちゃんが頷く。
あれはそう…かずが20歳のとき…
事務所に付き合ってた女優さんとの交際を反対されて…
ハンストに近いこと、やってた。
結局、それは…叶わなかったけど…
あの時のかずも、笑わなくなってげっそりと痩せて…
それでもあの時は目に力があった。
今は…
死んだ魚みたいな濁った目をしてる
俺には、どうしようもなかった。
かずが心を開かない限り、俺には何もできない。
ただ、指を咥えて見てるしかないんだ…