第14章 きみどり scene5
その帰り、さとは別に仕事があったから、別々に送迎車に乗り込んだ。
うたた寝して気がついたら、家についてた。
マンションの地下駐車場で、目を覚ました俺を、あいつはじっと覗き込んでた。
得も言われぬ気味の悪さで。
何も言えないでいたら、スマホの画面を出された。
そこには、絡み合う俺とさとの姿が写ってて…
その日から、俺はこいつのオナネタやってる。
キスをしてくるわけでもない。
最初のうちは、俺の局部を見てシコってるだけだった。
一ヶ月経ったら、今度は素股を要求された。
それから今まで、それ以上はしてきてないけど…
時間の問題だろうなって、心のどこかで諦めてた。
こんなのなんでもない
別に痛くも痒くもない
減るもんじゃないし
なんでもない
なんでもないんだ
だけど…さとはやっぱりわかってる。
俺の微妙な変化に気づいて、ここ二ヶ月ずっと俺の顔色ばかり見てる。
泣きそうな顔で、何度も問い詰められたけど…
俺には言うことができなかった。
脅迫されてるって…
オナネタにされてるって…
あれは俺達の写真だけど…
こいつの目的は俺だけだった。
金が欲しいんじゃなかった。
俺が…二宮和也が欲しいっていう…
一番厄介な脅迫者だったんだ…