第14章 きみどり scene5
それからも、相変わらず俺達は一緒にいるけど、かずがどんどん痩せていく。
そりゃ、ジム行ったりしてるから身体は引き締まったけど…
そういうんじゃなくて。
手首が一回り細くなった。
「かず…ちゃんとご飯食べてる?」
「え?」
ベッドに入りながらかずの手首をきゅっと握ると、慌ててひっこめようとする。
「た、食べてるよ」
「うそつけ」
離されないように、ぎゅっと手に力を込める。
「何か、悩んでるの?かず…」
「悩んでなんか…」
「じゃあなんでこんな痩せてるんだよ」
「そりゃ、身体動かしてるから…」
「違うだろっ」
ちょっとだけ、声が強くなった。
びくっとかずは肩を震わせる。
「なんで?俺に言えないことなの…?」
「さと…」
「そんなに俺、頼りないの?」
「ちがう…」
「かず…言って?なにがあったの?」
きゅっとかずは唇を引き結んだ。
こうなったら、もう何も聞き出せない。
「そんなに俺、信用ならないんだ?」
「ち、違うよ…」
「じゃあなんで…言ってくれないんだよ…」
「大丈夫だから…ね?」
俺の胸に飛び込んできて、ぎゅっとしがみついた。
「なんにもないんだから…」
その声は、小さくて弱々しかった。