第13章 漆黒
テレビを消して追いかけると、ベッドルームに戻る。
ベッドの中央がこんもり膨らんで、拗ねて丸まっているのがよくわかった。
そっと布団をどけると、丸まってそっぽを向いている。
「ごめん…起こしたくなかったんだ…」
「知らないもん」
「だって、疲れてるでしょ?」
「そんなの皆一緒だもん」
「まあ、そうだけどね…」
冬のコンサートに向けて、リハーサルやレコーディングが入ってる。
いつものことだけど、やっぱりこの時期は疲れが出やすいから、極力他の仕事を入れないようにしてるんだけど…
やっぱり疲れるものは疲れるんだ。
「ごめんね」
つんとそっぽを向いたままだから、強引にこちらを向かせた。
「先に寝たのはそっちでしょ?」
「だって、たくさん飲むから…」
「俺だって我慢したんだよ?寝てるのにえっちしたらもったいないでしょ?」
「え?もったいない?」
「そうだよ。せっかくの時間なのにさ、もったいないじゃん」
「ふふ…」
少し機嫌が直った。
キスしようとしたら、手のひらで遮られた。
「ちょっとトイレ行ってくる」
「一緒に行こうか?」
「ばか…」
ばかなんていうから、ちょっといたずらごころが起こった。
「一緒に行ってあげる」