第13章 漆黒
「なんか飲もうか…」
冷蔵庫を開けると、シャンパンのボトルがあった。
取り出して、食器棚からシャンパングラスを出す。
「ちょうどいいのがあったよ」
テーブルにグラスを置くと、シャンパンの蓋を開けた。
トクトクといい音を出して注ぐと、グラスを渡す。
「乾杯」
「乾杯…」
喉に爽やかな香りと、炭酸の刺激が通っていく。
「甘いね」
「うん。ちょうどいい」
疲れていたから酒が進む。
あっという間にボトルを開けてしまった。
「どうする?まだ飲む?」
「ううん…もういい」
「そっか…じゃ、行こうか」
立ちあがって手を握ると、頬を染める。
ベッドルームへ行くと、灯りも点けないでベッドに倒れ込んだ。
アルコールのせいで、もう息が上がってる。
互いのバスローブを脱がすと、裸で抱き合った。
「ん…あったかい…」
「あったかいね…もう寝そう…」
「じゃあ、寝ちゃうか」
「うん…」
俺の胸板に頬を付けて、しあわせそうに目を閉じてる。
「でも、寝ちゃうともったいない」
「ん?なにが?」
「折角、一緒にいるのに…もったいない…」
「もう…俺はどこにもいかないよ?」
「…もっと、一緒に居たいんだもん…」