第13章 漆黒
「知らない…」
横を向いたまま、俺を見てくれない。
ソファの前に座ると、涙の溢れた頬を撫でた。
「ごめんね…?寂しかったよね…」
「別に…」
強がるからそっと手を外すと、それを追うように手を取られる。
「なに…?」
「嫌…」
「え?」
「もっと…触って…」
ぎゅっと手を引き寄せられて、胸に抱かれる。
「いかないで…」
「もう…どこにもいかないよ…」
手に感じるぬくもりに、少し身体が疼く。
「お風呂入ってくるから、待ってて…?」
「いやだ…」
「じゃあ、一緒に入る…?」
そう言うと、こくんと頷く。
いつもは嫌がるのに…
そんなに寂しくさせてしまったのかな…
「じゃあ、行こう?」
そっと身体を抱き上げて、バスルームに向かう。
素直に俺の首に腕を回して、おとなしくしている。
脱衣所に着くと、床に下ろす。
じっと待ってるから、服を脱がせた。
「俺が…してあげる」
珍しく、俺の服を脱がせる。
じっとされるがままにしていたら、段々顔が赤くなってくる。
「…どうしたの?」
「…どうもしない…」
「じゃあ、これはなあに?」
どうもしないって言ってるのに、そこは熱く滾って上を向いていた。