第13章 漆黒
なんで…わかるんだろ…
それは、誰にも言ってない秘密だったのに…
「ど…どうして…そんなこと聞くの…?」
「ん…?気持ちよくなって欲しいから…」
「なんで…?」
「…だって、そのために来てるんだろ…?ここに」
それだけじゃない
それだけじゃないんだよ、俺は…
俺を見上げる、穢れを知らない瞳。
ああ、そうだよ…薄汚れてるのは俺だけだよ…
あんたは、なにも汚れてない。
ただ、正直に生きてるだけで…
捻じ曲がってるのは、俺の方なんだ。
でも…
もう、この人の前ではなにも隠せない…
「俺は…それだけでここにいるんじゃないよ…?」
「え…?」
「あなたに…逢いに来てるんだよ…」
驚きで目が見開かれた。
「逢いたいから…恋しいからここに来てるんだよ…?」
見開かれた目は、たちまちに涙で潤む。
「抱きたいから…ぬくもりを感じたいから…ここに来てる」
そっと手を取って、指にキスをする。
「愛してるから…」
とうとう
言ってしまった。
怖くて今まで言えなかった。
でも…
まごうことなき本心を…本当は知ってほしかったのかもしれない。
ぶつけてみたかったのかもしれない。
たとえそれが、受け入れられないとわかっていても…