第2章 グレイscene3
「いかにも”俺、溜まってます”って顔してんだよ」
「へっ?」
「波留ちゃん見る目とか、小池さんの胸元とか…お前、ひどい」
チーフマネは俺と年が近いから、言うことも遠慮がない。
しかもこの前マネージメント部長になったばかりだ。
タレントにいうことには遠慮は一切ない。
「そんな野獣みたいな目してる…?」
役作りもあるんだけどなあ…
だって童貞でしょ?鮫島って。
「役作りの一環って皆さん思ってくれてるけどな…お前がもし誰かを襲ったら、俺は切腹するしかない」
「おっ…襲うわけないだろうが…」
「わかってるけどなあ…お前の下半身鍵ついてないからな…」
カチッと榎本みたいに鍵をひねる真似をして、にやりとチーフは笑った。
「…あいつのことは悪かったよ」
「ああ本当だね。大迷惑だ」
「チッ…垂れ込んだ奴ぶっ殺す…」
「お前の本命が相葉雅紀だって知られなくて良かっただろうが。おまけに今度は翔まで…お前の下半身、まじどうなってんだよ」
「しらねえよ。ムスコに聞いてくれや」
そら…普通の人より性欲あるとは思うけどさ…
ここまでけちょんけちょんに言わなくてもいいじゃねえか…
チーフは昔、翔の担当だった。
だから余計、現状を心配してるのだ。
「とにかく、今日は翔の足腰は立てといてくれよ」
「りょーかい」