第2章 グレイscene3
「はーい、OKです!」
現場に声が響く。
スタッフさんが駆け寄ってきて、俺に頭を下げる。
「お疲れ様です。今日予定してたシーン、ちょっと機材トラブルでできなくなりまして…大野さん、今日終了になりました」
「えっ…マジで?」
「マジって言い方やめなさい」
後ろからチーフマネが声を掛けてきた。
「あ、すいません…。スケジュール押してるのに…」
「いえ、大野にとってはいい息抜きができそうですから…ありがとうございます…」
チーフがそう言うと、スタッフさんはまた頭を下げて戻っていった。
「大野、行くぞ」
有無を言わせない言い方に、ちょっとビビった。
チーフは俺達が若い頃からずっとついてくれてるマネで、俺達のことはなんでも知ってる。
だから、俺と翔と雅紀のことも知ってる訳で。
スタジオを出て、廊下を歩いているとマネが振り返った。
「大野。今日はあの二人空いてるから」
「へ?」
「だから今日はいいぞ」
「え…なんで?撮影期間中はセーブしろって説教したじゃん。この前…」
そう、この前俺たちは皆で翔をヤっちゃって、次の日起き上がれなくなっちゃって。
それを知ったチーフにめちゃくちゃ雷を落とされていたのだ。
「いくら休みだからって、限度があるだろうがっ!」
…ごもっともです…
だからあれから俺は、仕事でしか二人に会えずに居た。
もう一ヶ月以上になる。
そろそろ俺の下半身は限界を迎えそうだった。