第13章 漆黒
それから何本かビールを飲み干して、身体が熱くなる。
その頃には、もうお互いを見つめて目が離せない。
じっと見つめ合ったまま、琥珀の液体を飲み干していくんだ。
いつも、そう。
酔わないと、次に移せないんだ。
一回目のキスは、いつも拒まれる。
恒例行事みたいなもので、もう傷つかない。
それでも貪ると、もうその夜は際限なくキスばかりする。
だけど…
その前に俺達は酔うんだ。
酔って、二人だけの世界を作るんだ。
「ねえ…」
「うん…?」
「シャワー、しよ?」
「うん…」
手が伸びてきて、俺のシャツのボタンを外していく。
じっと見つめ合ったまま、俺も手を伸ばしてシャツのボタンを外していく。
シャツが脱げると、今度はズボン。
ベルトを外して、パンツごとずり下げる。
リビングで裸になった俺達は、笑いあって手を握った。
そのままバスルームへ駆け込む。
「ねえ、今日は泊まれるの?」
「うん」
「んふふ…」
「なに?」
「言わせんなよ…嬉しいんだよっ…」
今日は…今日だけは…
このときだけは素直に…
いつも、そう決めてる。
だって、二人だけの時間は…
とても短いから。