第13章 漆黒
~617号室~
呼び鈴がなった瞬間、飛び起きた。
一目散にドアに向かって走っていって、外を確認もしないでドアを開けた。
「待ってたよっ」
「わっ…びっくりした」
ドアの外で、びっくりしたまま固まってるから、腕を引っ張って中に入れた。
「お風呂にする?ご飯にする?それとも、俺?」
「えー…もう、何いってんの…」
ふふっと笑う顔を手で包んで、唇を近づけた。
「…ごめん…」
それでも、俺、強引に奪っちゃう。
「んっ…」
硬く閉じられた唇…
それがだんだん緩んで開く瞬間が、俺は好き。
そこを舌でこじ開けて、その甘い口内を舐めるのが好き。
「もお…しつこい…」
「だって、甘いんだもん…」
「甘い?俺が?」
「うん…とおっても甘いよ?んふ…」
べろりと唇を舐めると、ふふっと笑って手をつなぐ。
「どうする?お酒でも飲む?」
「うん…ちょっと飲みたいな…」
リビングに入ってソファに座らせると、冷蔵庫に歩み寄った。
扉を開けると、数種類のビールが入ってた。
「ビールでいい?」
「うん」
コロナの瓶を取り出すと、傍らに置いてあった切ったライムを載せたお皿も取り出す。
栓抜きで蓋を取ると、ライムをねじ込む。