第12章 ピスタチオ fromショコラ
犬の…犬の勢いだと思ってた…
は、は、恥ずかしいっ…
俺、自分から大野さんにあんなことしたのっ…!?
「んふ…」
「な、なっ…」
「嬉しかった…ニノがあんなことしてくれて…」
「ああああーっ…忘れてっ…」
「ヤダ」
「ひいぃぃんっ…」
ぎゅっと大野さんは俺を抱きしめた。
「忘れるわけ無いじゃん…あんなかわいかったのに…」
「やっ…やっ…やだああっ…」
半べそになった俺を大野さんはこねくり回すようになでなでしまくって…
俺も悔しいから、ぐっちゃぐちゃにするほど頭を撫でてやった。
なんだかおかしくなってきて…
我慢できなくて笑いだしたら、大野さんも笑いだして…
ゲラゲラ二人で笑ってたら、いつの間にか寝ちゃってて…
今日オフで良かった。
そう思いながら、すうっと眠りに吸い込まれていった。
わんっ…わんっ…
あの日見た、黒い犬が駆けている
大野さんと一緒に、楽しそうに
じゃれつきながら、どんどん遠くに行ってしまう
待ってよ…おいて行かないでっ…
だだっ広い、野原
どこまでも続くクローバーの花畑
走っても走っても二人に追いつけない
足が前に進まない
待って…待って…
犬は天駆ける様に空を昇っていく
待って…!俺…!