第12章 ピスタチオ fromショコラ
抵抗する大野さんの手をかいくぐって、顔を舐め回す。
あ…やっぱり、いい匂い…
「わんっわんっ…」
「待てっ…黒っ…ちょっと!」
もっといい匂いを嗅ぎたくて、大野さんの首筋に顔を埋める。
「あっ…ちょっと…」
急にクタリと大野さんの体から力が抜けた。
俺は嬉しくなって、口をべろべろと舐め回した。
また匂いを嗅ごうと首筋に顔を埋めると、大野さんの口から甘い声が聞こえた。
「きゅん…?」
顔を真赤にした大野さんが目を閉じて、歯を食いしばってる。
どうしたのかな?
そんなに嫌なのかな…?
そう思ったら大野さんの腹に跨ったまま動けなくなった。
「きゅ~ぅん…?」
ほっぺたをぺろんと舐めると、やっと目を開けた。
「ニノ…」
俺の名前を呼ぶ声が掠れていた。
急に視界が反転した。
天井が目に入った。
ぬっと大野さんが視界に入ってきて、俺を見下ろしてる。
「きゃんっ…」
がばっと大野さんが抱きついてきた。
急にきた温かさにびっくりした。
大野さんも俺も、上半身裸で…
肌のぬくもりが、急激に伝わって身体が熱くなった。
嬉しい…
大野さん、俺を抱っこしてくれてる…
とっても嬉しいから、俺も大野さんの背中に腕を回して、身体を抱きしめた。