第12章 ピスタチオ fromショコラ
喫煙所で一服して楽屋に戻ると、もうみんな戻ってきてた。
さっきまで誰も居なかったのに…
まるで俺達が居ないのを見計らったように戻ってきてる。
なんなんだろ…
違和感ばかりが大きくなっていく。
二本目の収録は無事に何事もなく終わり、共演者さんに挨拶して早々に楽屋に戻された。
大野さんに強制連行されたのだ。
「ほら、早く着替えろ。病院いくんだろ?」
「え、うん…」
しょうがないからもそもそ着替えた。
みんなまだ戻ってこない。
今日は旧知のゲストさんが多いから、まだきっと挨拶してるんだ。
でもおかしい…
マネージャーすら、こない。
俺と大野さんのマネージャーもこないなんて…
タレントにくっついてまわってるのが仕事なんだから、職務怠慢じゃん。
「あっ…」
やばい…
「どうした?」
大野さんがこちらを振り向く。
まだ上半身ハダカだ。
俺も、まだ中途半端にシャツを着てるとこで…
なのに…
「わんっ…」
犬が降りてきた。
「わあっ…」
当然、俺の意思なんて関係なく身体は動いて…
大野さんに飛びかかっていった。
「く、黒っ…待てって…!」
飛びついた勢いで大野さんが床に倒れると、待ってましたとばかりに覆いかぶさる。