第12章 ピスタチオ fromショコラ
楽屋には、誰も帰ってこない。
なんだか変だ。
こんなに二人きりの時間が長かったことなんて、久しぶりで…
売れなかった頃じゃあるまいし、なんかおかしい。
「ね、ねえ。みんな遅いね。マネージャーまで居ないなんてね?」
「あ、ああ…そう言えばなんかおせえな…」
きょろきょろと周りを見渡してみても、ひとっこ一人、見事に居ない。
「なんかあったっけ?今日」
「さあ…俺は何も聞いてないけど」
言ってるうちに大野さんも食べ終わった。
「タバコ…」
カバンをがさごそして、一本取り出した。
あ、喫煙所行ってこようかな…
潤くんも相葉さんもやめちゃったから、楽屋で吸いにくいんだよね…
「大野さん、俺、外行ってくるわ」
「どこ行くんだよ?」
お弁当のゴミを片付けてくれながら、こちらを振り返った。
その顔はやっぱりちょっと怒ってた。
「気分転換…喫煙所行ってくる」
「…じゃ、俺も行く」
でも楽屋、誰も居なくなる。
鍵どうしようかって思ってたら、相葉さんと翔ちゃんが戻ってきた。
「あれ、遅かったね」
「そう?」
そう言いながら、翔ちゃんは俺の額に手を当てた。
「お、だいぶいいじゃん」
「うん。寝かせてもらったから楽になったよ」