第12章 ピスタチオ fromショコラ
大野さん…
触りたいな…
だっこ、して欲しい…
そんなこと思ってたらうとうとしてたみたいで。
揺り起こされて、弁当がきたと言われるまで熟睡してた。
「んあー、よく寝た…」
「ほんと?」
「うん…なんかさっきよりすっきりしてる」
「ふうん…」
大野さんは黙って俺の額に手を当てた。
「その…オーラってやつ、まだ赤いの?」
「あ?うん」
「じゃあ熱出るのかなあ…」
「だからおとなしくしてろや」
「んふ…わかった」
なんか命令されてるのがおかしくなってきて、思わず笑っちゃった。
そしたら大野さんがぷいっと横を向いてしまった。
「あ、ごめん…なんか、怒った?」
「だから…怒ってねえって…」
「じゃあなんでそんな顔するの…?」
いつの間にか、楽屋には大野さんと俺だけになった。
ふたりきりで、じっと見つめ合う。
「どんな顔してんだよ…俺…」
「だから、怒ったみたいな顔してる」
「…ごめん…そんなつもりないんだけど」
「なにか、気に入らないの?俺が熱出したから?」
「そんなの…誰にだって体調悪いときなんてあるんだから、全然気にしてない」
「大野さんも…もしかして具合悪いの?」
ぐいっと大野さんの腕を引っ張ってこちらを向かせた。
額に手を当ててたら、みるみる真っ赤になってきた。