第12章 ピスタチオ fromショコラ
突然ガシッと腕を引っ張られた。
「えっ!?」
振り返ると、大野さんが俺の腕を掴んでた。
「だからか…おまえ…」
「えっ?何?」
「体調悪かったのかよ…」
ちっと舌打ちすると、俺の腕を引っ張って歩き出した。
「えっ…ちょっと待って!どこ行くの!?」
「ああっ!?医務室に決まってんだろ!バカっ」
「ばかって…な、ちょっと…!」
「マネージャー、ニノのカバン持ってきて」
「あっ、はい…」
そのままドカドカと前を歩く。
楽屋を出たら、まっすぐタレントフロアの医務室に連れて行かれた。
「大野さんっ、俺、大丈夫だからっ…もうすぐ打ち合わせっ…」
「ばかやろー!そんな青い顔して…なにが大丈夫だ!」
「えっ?」
「寝てろ。ミーティングとか、後でちゃんと伝えるから」
「でも…」
「いいから!な?マネージャー?」
「ええ…あの、そうして下さい、二宮さん…」
俺のマネージャーは最近交代して、ちょっと若造になった。
だから俺が強く言うと、なんでもいう事聞いて便利なのに…
大野さんに言われて、俺に意見しやがる。
医務室には誰も居なくて。
マネージャーが駆け戻っていって、クロークに鍵を貰いに行った。
その間、大野さんは俺の腕を離さない。