第11章 グレイscene4
「うひゃあっ…」
「な、なんだよ。ヘンな声だして…」
「なんでも…くすぐったいんだよっ!」
「へえ…」
岡田はくすっと笑うとそのまま人差し指を動かした。
「腰いれないと、このラインの筋を痛めるから…」
「わ、わかった」
「はい、もう一回」
最初からまた手合わせを始める。
乱取りだから、何が飛び出すかわからない。
「はい、この前の型忘れてる!」
「あいっ!」
こんな不真面目な弟子にも岡田はまじめに付き合ってくれて…
こいつ偉いよなぁ…
なんて思ってたらいきなり組み付かれた。
「うわあっ」
「なにボケっとしてんだよ」
「すまん」
「狩られるぞお前…」
「はあ?」
がっしりと組み付かれて腕を動かすことができない。
しょうがないから足技を掛けようと、岡田の足に絡ませるがびくともしない。
「お、いいねえ…そういうの大事」
「ふんがー」
ムキになって岡田を押し倒そうとするけど、やっぱりダメで。
「こうすんだよ」
ひょいと岡田に足を絡められたと思ったら、いつの間にかリノリウムの床に押し倒されてた。
「はぁ~…敵わねえな…」
「いや、よくやってるよ、お前は」
そういってコツンとおでこを指で叩いた。