第11章 グレイscene4
ジークンドーはブルース・リーが創設した哲学。
その中に武道があったりして、人間としての多様な要素が詰め込まれてる思想のことだ。
拳法と勘違いされやすいけど、要は生き様ってやつで。
その中の武道を俺は岡田から習っている。
哲学は、俺の頭では無理だ…
「ほい。10分経ったぞ大野」
「いや~もうちょっと休ませろや…」
「なに甘ったれてんだ。やるぞ」
岡田にぐいっと腕を引っ張られて無理やり立たされる。
「じゃあこの前教えた型から…いけるか?」
「多分…」
「じゃあいくぞ…はいっ…」
師範の資格をもっているだけある。
岡田はすごく教えるのが上手い。
型に関しては、みるみる覚えられた。
「はっ…遅いっ」
「おおっ…」
柄にもなく熱くなる。
「おら、もっとこい!」
「うぃやー!」
ぴたっと岡田の動きが止まる。
「ちょっと…お前これじゃ筋を痛めるから…」
言われたままの姿勢で止まる。
腰を持たれて少し捻られた。
「こっちのほうが楽じゃないか?」
「あ、ほんとだ」
「で、このまま腕を旋回させる」
くいっと腕を持たれて回された。
「あ…凄い楽だ」
「だろ。ここは腰いれないと肩からこのライン…」
つつっと肩から腕を人差し指でなぞられた。