第11章 グレイscene4
「はいっ…そこで腕立て!」
「ちょっ…待って岡田…」
「うるさい大野!」
も、何回目だよ…
今日は岡田とジークンドーのレッスン。
レッスンというか稽古というか修行というか…
今日は岡田の借りてるスタジオで個人レッスン。
忍びのために身体を鍛え始めてもう半年以上になる。
スタジオには冷房も入れてもらえないで、二人で汗だく。
時々強制的にアクエリアスを流し込まれる。
「ふっ…んぅ~…」
「なんだもうへばったのか」
「うるせえ…お前とは違うんだよ」
「大野がこんなに根性なしだとはな」
「もうそれでいいよ…」
ぱたんと大の字に床に倒れこんだ。
「でもま。お前は飲み込みがいいよ」
「そおかあ…?」
「カポエラもいい出来だった」
「はあ?お前何十年前の話してんだ?」
「そうか?そんな前だったか?」
アクエリをごくっと飲んで俺の方にボトルを差し出す。
少し起き上がってそれを飲み干すと、岡田はにやっと笑った。
「間接キス」
「はあ?何言ってんだお前…」
「むふ…10分休んだら、乱取りしようか」
「ええ~」
「お前、何しに来てんだよ…」
岡田は立ち上がると、鏡に向かってシャドウボクシングを始めた。
元気な奴…