第11章 グレイscene4
くすくす笑いながら朝食を手早く作ると、ダイニングじゃなくて、リビングのローテーブルに朝食を並べる。
「…なんで?」
「今日はこっちで食べたいの」
「ふうん…」
並べる潤の後ろについて回って、なんにも手伝えない…
「なんか手伝おうか?」
「もう終わるからいいよ」
最後に信州りんごジュースを並べる。
「さ、終わった。座って?」
「うん」
ソファに座ると、潤はさも当然って顔して俺の膝に座った。
「…潤?」
「なに?」
そんな可愛い顔して…
「わかった。何から食べたい?」
「クロワッサン」
手に取って口に持って行くと、ぷうっと頬を膨らませた。
「ちゃんとちぎってよ」
「はいはい」
お皿の上でちぎって潤の口に運ぶと、ぱくっと指ごと食べられた。
「おまえ…」
「むふふ…おいしい」
それから二人で食べさせっこしながら朝食を平らげた。
「ふう…美味しかった」
「牛乳飲ませて」
「はい」
グラスを口に持って行くけど、飲もうとしない。
俺の顔をじっと見て、キラキラした目をしている。
「…わかったよ…」
グラスから牛乳を口に含むと、潤の身体を引き寄せてくちづけた。
唇が薄く開いた隙間から牛乳を流し込む。